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(2005年8月25日号記事)
南口再開発 権利変換計画を縦覧

JR、権利床30%を受けず
 独立行政法人都市再生機構は、武蔵小金井駅南口再開発(第1地区)の権利変換計画を作成、10日〜23日までの間、公衆の縦覧に付した。
 権利変換計画は、@権利者の現在の資産内容の査定内容、A権利者が再開発ビルの中に確保する床(権利床)の位置・面積、B再開発ビルに入居しない権利者の補償額などが示されるもの。
 現計画に異論を持つ権利者らは、反対の意思を示す意見書を国土交通省宛に送付した。

市資産は約26億円
 権利変換計画書によれば、再開発区域内における小金井市の資産は、総額26億5556万6000円。内訳は、土地が、4549.73uで22億6598面9000円(u単価49万8049円)。建物(公会堂)が、2366.97uで3億8957万7000円。
 稲葉市長は、その全てを権利変換し、借金などで購入する保留床と合わせて、(仮称)市民交流センターを、駅前ロータリーの南正面に確保する方針。
 市議会では、与党サイドは、駅前ロータリーに面する立地を積極的に推進する姿勢だが、野党サイドは、無駄遣いになるとして反対している。

JR、権利床を埋めず
権利変換計画書の縦覧によって、JR東日本が、権利床を全部は引き受けず、約30%分は撤退し、現金で補償を受けることが明らかになった。
権利床として取得するのは22億7425万4000円分の床にとどまり、9億1453万7000円分は転出に伴う補償金として受け取る。
 JRに対しては、稲葉市長が「権利床のみならず保留床も購入してほしい(小金井市に投資してほしい)」と依頼していたが、JR側が保留床の購入を拒否し、当初予定14階建のはずの業務ビルが、事業認可申請の寸前に5階建に変更になった経過がある。稲葉市長は、その後も「権利床は持ってくれる」と内外に説明していたが、今回の権利変換計画では、権利床も全部は引き受けない内容になっている。
なぜ変更になったのかについては明らかにされていない。

大規模商業施設の床
 イトーヨーカド―が出店するとされる大規模商業施設について、床の内訳が明らかになった。
 それによると駅前の大地主が権利床として取得するのは同ビルの地下1階から地上2階までで、地上3階から6階までは、保留床を購入して確保する内容となっている。
 また、先の事業計画変更で、売り場とバックヤードを仕切る壁が取り払われたため、売り場面積が大幅に増えたものと推測される。
 どのような業態になるか、中小のテナントはどうなるか等については明らかにされていない。

25階建マンション
 25階建マンションに関しても、変更があった。
 当初計画では、地下1階から地上4階までが商業・業務スペースとなり、
5階から25階までが分譲マンションになるとの説明がなされてきた。
 今回示された権利変換計画では、4階部分を賃貸マンションと分譲マンションが雑居する住居スペースに変更するとの内容となっている。
 地下1階には、現在パチンコ店を営む権利者が入居する計画。
 地上1階には大小様々な13区画のスペースが用意され、内10区画が権利床として埋まっている。駅前ロータリーに面する東側スペース(3店舗)には、現在DPEを営む権利者2氏と和菓子店を営む権利者が権利床を確保する。フェスティバルコート(お祭り広場)に面する南側スペース(5店舗)には、現在スポーツ品店を営む権利者、不動産業を営む権利者、うどん屋を営む権利者、パン屋を営む権利者が、それぞれ権利床を確保する。
 地上2階には、これも大小様々な11区画が用意され、内9区画が権利床として埋まっている。居酒屋など飲食店に関係する権利者が中心。
 地上3階には、2区画が用意され、内1区画が権利床として埋まっている。
 地上4階はマンションとなる。ファミリータイプの3部屋とワンルームマンション14室が予定されている。ワンルームマンションは全戸、現計画に異論を唱える地権者の権利床として提案されているが、当の地権者は「相談もなく一方的に割り振られたもので、同意できない」としている。
 5階から25階までは183室の分譲マンションが予定されている。この内10室は権利床として埋められている。
最上階となる25階部分は5室あるが、南側に面する3室はすでに権利床として地権者が埋めている。

雑居ビルが火種
 前号で詳報した通り、JRビルの南側には、現計画に異論を唱える地権者2氏の権利床を抱き合わせにした雑居ビル計画が突然示された。
 当該地権者らは「事業計画の変更にあたり、何も相談がなかった。このようなやり方は理解できないし、現計画のままでの再開発には一切参加しない」「駅から一番遠い市の文化施設が駅前ロータリーの正面に来て、私どもが裏通りというのは、照応の原則に照らして理不尽な計画である」などと話している。
 土地区画整理事業の場合、減歩(げんぶ)により面積が減らされたとしても、地権者は独自に一筆の土地を所有し、自らの才覚で建物を建設できる。一方、再開発の場合、原則として一つのビルの中に複数の権利者が床を所有することになる。当該地権者らは雑居ビルへの入居を拒否しており、現計画のままでの合意形成は相当に困難であると推測される。

権利者合意、難航か
 権利変換計画が縦覧に供されたことにより、今後は、国土交通省による権利変換計画認可(11月頃)、権利変換期日の設定(本年末または来年初頭)、土地建物明け渡し期限の設定(来年3月または4月)と行政手続が進められるものと予測される。そこまでは、権利者の合意状況とは無関係に行いうる。
 ポイントとなるのは、土地建物明け渡し期限までに、すべての権利者が明け渡しに応じるかどうか。
 都市計画決定や事業認可の際にも、現計画に反対する意見書を提出してきた複数の権利者は、@市や都市再生機構から何も説明を受けていない、A再開発ビルに移ることによって大幅な収益減が予想される、B駅前ロータリーの目の前に文化ホールはいらない、C現計画のまま行えば、小金井市のためにならない、などとして反発を強めており、立ち退きを拒否する考えを示している。
 立ち退き拒否があった場合、裁判などに発展すると、平成21年3月完成をめざす事業スケジュールに大幅な狂いが生じる可能性もある。

空転費用は誰が払う?
 事業が空転した場合、毎年の事務費(人件費や機構の事務所家賃など)の累増、地価の下落などによる保留床処分金の減少、先行して土地建物を明け渡した権利者への休業補償の累増、大規模土地所有者の相続発生などの問題が生じることも予想される。
事業収支が悪化した場合、施行者である都市再生機構が全額負担するのか、地元自治体である小金井市も一部を肩代わりさせられるのかは、現段階で明らかにされていない。

■用語解説■
 権利床(けんりしょう)=権利者が、現在保有している資産額に応じて、再開発ビルの中に取得する床。
 保留床(ほりゅうしょう)=施行者である都市再生機構が他者に売却して、再開発工事費などに充当するための床。一般に、保留床を確実に売ることができるかどうかが、再開発のポイントとなる。

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