現在、テレビ朝日「スーパーモーニング」のニュースリポーターやエフエム東京のキャスターとして活躍されている立花裕人さん(中町在住)。オウム真理教・麻原彰晃への独占インタビューや、独身時代の雅子様へ単独取材も手掛けたという立花さんに、仕事の魅力と小金井への思いを語っていただいた。
―キャスターをする前は、大手企業で貿易の仕事をしていたそうだが?
「大学時代、アナウンス学校にも通っていたので、アナウンサーになるか企業へ就職するか、だいぶ迷いました。結局、英語を活かそうと大阪のメーカーへ就職したのですが、大きな看板を背負っていても自分の個性が活かせないと痛感し、2年働いた後、アナウンサーになるため退職しました」
―大手企業を辞めてまで今の道に進もうと決意したきっかけは?
「フジテレビの軽部真一アナウンサーとは高校・大学の同級生で、アナウンス学校も一緒だったんです。取材で大阪へ来た彼と会ったとき、非常に活き活きして見えたんですね。それは僕にとって大きな刺激となりました。
ただ、当時は80年代半ば、バブル前の不況時期で、局アナの中途採用はない。そこで、アナウンス学校でお世話になった方が経営しているプロダクションに『会社を辞めるので面倒を見て下さい』と、半ば強引に上京しました(笑)」
―その時は、大学時代のような迷いはなく?
「サラリーマン経験をしたことによって、逆に自分のしたいことがはっきり分かりましたので、夢を叶えるんだという気持のほうが強かったですね。もっとも、すぐに食べてはいけませんでしたから、一年間、デパートでラッピング作業のアルバイトもしていました。あの頃は収入的に苦しかったけれど、フリーになってからいちばん不安がなかった時期かもしれません」
―これらの経験は役に立った?
「はい。最初のレギュラー仕事は、フジテレビの朝と昼のワイドショーのレポーターでしたが、視聴者の大半は主婦です。デパートの客層と重なりますから、主婦の方はどういうところで笑い、どんなところにシンパシーを感じるか、レポートする視点を考える上で大変役に立ちました。
また、その後、CNNを経てエフエム東京「モーニングフリーウェイ」のキャスターを9年間やりましたが、その時のリスナーの多くは通勤途中のサラリーマンです。満員電車は辛いよな、電車に揺られながら一日のスケジュールを組み立てているのだろうなと、どんな状態で聴いてくれているのか体感として理解できました」
―回り道したことがかえって良かったと?
「キャスターをされる方は大卒で局アナになった方、フリーなら元局アナ、元新聞記者といった専門知識を武器にしている方が多い中で、僕は元サラリーマン、いち庶民という視線が自然にできたと思います。これは今でも変わりありません」
―「モーニングフリーウェイ」は惜しまれながら昨年9月で終了した。ひとつの転機に?
「レギュラーが終わると裸一貫になってしまうのがフリーの不安定なところです。もちろん、先行きの不安はありましたが、逆に次に何ができるか、新しいことへ挑戦するチャンスだと捉えました」
―ニュースレポーターとして現場復帰を果たしたが?
「CNNを含め、キャスターを12年半務めましたが、ずっとスタジオの中にいて、自分のコメントにリアリティがなくなってきたと感じるようになりました。今は再度現場に出て、自分なりのテイストを蓄える期間にしたいと思っています」
―レポーターと同時に、ブロード番組でのキャスター、執筆、さらには作詞も手掛けているが?
「キャスターというと情報を伝える人というイメージがあると思います。でも、これだけネットが発達し、チャットや掲示板でやりとりされるようになった今、キャスターもニュースを伝えるだけでなく、情報の発信者になる時代であると感じています。従来の情報媒介者から自分が基点となって人と人をリンクさせる新しい形のキャスターを目指したい。その意味で、執筆や作詞もひとつのステップと捉え、楽しんでいます」
―小金井には8年前に越されたそうだが?
「僕が小金井に住もうと思ったのは、荻窪に母がいるため中央線沿線にしようと思ったことがひとつ。そして、小金井公園、野川公園など緑がたくさんあると聞き、環境的にいいだろうと決めました。
ですから、再開発や財政が苦しいといった市の問題は、後で知りました。職業上、市内の方々とも接する機会が多いので、どうやったら自分の住む町をよくできるだろうと、僕なりに考えるようになりましたね」
―情報の中核にいるキャスターの視点で見る小金井の活性化とは?
「インタビューの仕事をして感じることは、魅力ある人とは、明るく慾がなく、とにかく仕事が好きだというピュアな方なんです。事務所やレコード会社の力で世に出る人もいますが、ご本人に魅力がなければ長い人気を保つことはできません。
町もそれと同じだと思います。駅前に建てた大きなビルに、話題の店や知名度のある店を入れるのも活性化するひとつの方法ですが、それだけでは、事務所やレコード会社の力のように一過性になってしまうとも限らない。大店舗と共存でき、かつ小金井ならではの店作りやイベントができたらいいと思います」
―具体的には?
「例えば、自然を大切にする小金井の特徴を活かしてオーガニック、ナチュラル製品を扱うおしゃれなお店を作る。散歩の途中に立ち寄れるような手作りのクラフトショップや、昔ながらの小金井の風情を感じさせるようなカフェを提案する…。
政治的なものとは別に、みんなの意見を包括できるような価値観があるはずだという視点で、小金井らしい空気感が漂う町作りに関わっていきたいですね」
プロフィール
1961年生まれ。早稲田大学法学部卒業。大手メーカーに勤務後、フリーキャスターとなる。ワイドショーのリポーター、CNNキャスターを経て、95年よりエフエム東京「モーニングフリーウェイ」のメインキャスターを9年間務める。現在は、テレビ朝日「スーパーモーニング」ニュースリポーター、エフエム東京のブロード番組「インフォシエスタ」キャスター、同「NEWS CAST」編集長として活躍中。
(URL:
http://www.tfm.co.jp/news/top.php)
また、沖縄のアーティスト「しやかり」が7月下旬にリリースするアルバム「コドウ」の中で「あの海へ帰ろう」の作詞を担当。執筆業にも携わっている。