事故、怪我、災害時などアクシデントが起こったとき、市民にとって心強いのは消防署の救急隊である。そこで、今回は、小金井消防署・救急隊長の前澤勇さんに、救急隊の活動と市民ができる応急処置についてうかがった。
―救急隊出動までの流れは?
「多摩地区で119番をかけると、立川市にある多摩災害救急情報センターに繋がります。そこから現場に近い救急隊への指令が入り、我々が出動するという形になります」
―小金井署・救急隊の出動回数は?
「昨年は、本署が2776件、緑町出張所で2733件。他の多摩地域と比べると平均的な数字だと思います」
―119に通報するケースで多いのは?
「交通事故などを想像されるかもしれませんが、半数以上が、お腹が痛い、頭が痛い、吐き気がするといった急病事故です」
―119をするときに大事なことは?
「いちばん重要なのは救急隊が駆けつける場所の特定です。例えば、本町、緑町といった地名は多摩地区に複数あります。ですから、小金井市○○町、何番地何号まで正確にいっていただけると迅速に行動へ移せます。所在地が分からない場合は、○○街道沿い、○○駅の南側などの情報に加え、建物などの目標物を言ってください」
―症状も大切?
「はい。ただ、緊急性のある場合は119番通報で時間がかかり過ぎると、我々が要請を受け現場へ到着する時間も遅くなります。センターのオペレーターはベテランですから、的確な質問でだいたいの状況を把握しますから、指示に従ってくださればいいと思います。また、遠方である、急を要する場合などは我々が移動中にPHSで連絡を入れ、情報収集をすることもあります。細かい症状を聞くとこちらも準備ができますし、こうした処置をしてくださいとアドバイスもできますから」
―市民(素人)ができる応急処置を
「症状によって千差万別ですが、基本的には安静がいちばんです。ただ、息苦しい、喘息など、肺機能や心臓のポンプ機能が弱っているときに横にするとかえって苦しくなる場合がありますから、急病者に意識があれば本人がいちばん楽だと思う姿勢をとらせてあげてください」
―出血の場合は?
「じわじわと出る場合、動脈を切って心臓の鼓動に合わせて出る場合など状態は様々ですが、基本的には清潔な布(洗いたてのハンカチなど)で傷口を押さえ、縛れるもの(ネクタイやスカーフなど)で上から圧迫します。大抵の場合はこれである程度出血が止まります。怪我をした人は血を見ただけで精神的な動揺を受けやすいので、それを隠すという目的もあります。
清潔な布をすぐに用意できない場合は、止血ポイントを間接的に圧迫する方法や、傷口を心臓より上にすることで出血を抑えることができます。
出血の手当てで注意して頂きたいのは感染です。急患者が何らかの感染症を持っていると、手当てをする側に多少でも傷があれば、血液を通して移ってしまうことがあります。ビニル袋など手袋代わりにして、素手での応急処置は極力避けてください」
―火傷の場合は?
「流水で冷やすことです。ただ、肩、腹部といった場合は冷やし続けると体温が下がってしまうので、ある程度冷やしたら止めてください。また、清潔なバスタオルなどで患部を保護してあげることも大切です」
―どんな場合でも患者に対してできることは?
「痛みを軽減する体位にすること。そしてどなたにもできることは、言葉をかけてあげる、手を握るなどスキンシップをして励ましてあげることです。不安に陥っている患者にとって、そばに誰かがいることは、何よりも心強いと思います」
―どのくらいの症状で119に通報するか、迷うところだが?
「実際、症状がかなり悪化してから救急車を呼ぶケースが多いです。恐らく、このくらいで呼んでもいいのか、少し経てば病状が治まるのではないかと様々な葛藤があると思うのですが、あと10分遅かったら危なかったということも有り得ますから、躊躇せずに呼んで頂きたいですね。大したことでなかったとしても、『良かったね』で済むことですから。苦しがっている方の気持を第一に考えて欲しいと思います。
その一方で、明らかに緊急性のない安易な救急車の利用は、真に救急車を必要とする救急事案に支障をきたす恐れがあることも忘れて欲しくないと思います。現在、各消防署では医療機関の案内を行っていますので、自己通院可能な場合は、利用して頂きたいと思います」
―前澤さんがこの仕事をして良かったと思うときは?
「ごく普通のことですが、遅延なく病院へ搬送できたときです。病院が決まらなかったり、希望の病院へ搬送できないときもあります。それは仕方がないことなのですが、スムースに搬送できたときは症状の軽重に関わらず、良かったと思います」
(コラム)
小金井消防署では、心肺蘇生法(心臓マッサージと人工呼吸)を中心とした『普通救命講習』を毎月第3土曜日の9時〜12時まで行っている。1人〜グループでも可。グループの場合は、日時の相談に応じる。詳細問い合わせは、小金井消防署まで。Tel042-384-0119