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(2004年12月25日号記事)
市長、再開発予算の凍結を解除

議会、事業認可見合わせ求め意見書

 12月10日、稲葉孝彦市長は、市議会幹事長会議において、9月定例市議会で、執行凍結を前提に可決された武蔵小金井駅南口第1地区の再開発予算について、「凍結を解除し、事業認可に向けての手続きに入る」と表明した。議会多数の同意と関係者の理解が凍結解除の条件となっていたが、それを得られないままの解除に市議会は強く反発。12月15日の本会議で、市長に対する「問責決議」と、国及び都宛ての「再開発の事業認可見合わせを求める意見書」を可決した。

 12月10日は、厚生文教委員会の開催日だったが、委員会が午後3時の休憩に入った段階で、緊急に幹事長会議が開かれた。その場で、稲葉市長は、9月議会で与党4会派と共産党が提案し、賛成多数(賛成22名・反対1名)で可決された再開発予算の執行凍結を求める付帯決議について、「凍結を解除し、事業認可の手続きに入る」との考えを明らかにした。

予算退席の共産が反発

 9月議会では、野党会派の内、共産党が付帯決議を付けることを条件に予算の議決で退席した。このため、再開発予算を含む一般会計予算が可決された経過があった。付帯決議における凍結解除の条件は、「議会多数の同意」「関係者の理解」だったが、いずれも達成されないまま凍結が解除されたため、半ばだまされた格好の共産党は猛反発した。
板倉・厚生文教委員長(共産党)は、幹事長会議後に再開された厚生文教委員会で、陳情や議案の審査を中断し、委員会の散会を宣言した。
 12月13日の建設環境委員会では、市民提出の請願・陳情は審査したが、市長提出の議案審査に入る寸前に、同委員会の委員で市議会議長も務める森戸市議(共産党)が、委員会の散会を求める動議を提出。同動議が賛成多数で可決されたため、その場で委員会は散会となった。
 翌12月14日の総務企画委員会では、市民提出の請願・陳情、行政報告は審査したが、市長提出の議案審査に入る寸前に、同委員会の委員である井上市議(共産党)が、委員会の散会を求める動議を提出。同動議が賛成多数で可決されたため、その場で委員会は散会となった。
 3つの常任委員会が機能不全に陥るという、極めて異例の事態となった。

本会議の開催を請求

 12月14日、野党7会派は、緊急に本会議を開催するよう森戸議長宛てに「本会議開催請求書」を提出した。その後、市長から、市長報告を行なうため本会議を招集するとの文書が議長宛に届けられた。
 このため、翌15日に、本会議が開催されることになった。

議会多数とは何人? 市長報告巡って論戦

 12月15日は、補正予算を審査する予算特別委員会の開催が予定されていたが、緊急に本会議が開催され、凍結解除問題に関する市長報告(概要は資料@参照)が行なわれた。
 報告を受けて質疑が行なわれた。
 共産党の板倉市議は、「到底容認できない。断固抗議する」「与党から凍結するとの申し入れがあったのを受けて決議を共同提案し、予算に退席した」と発言した。市長は、「(与党の件は)私の関知するところではない」「(付帯決議を)あんた守れ、と言われても、直接かかわるものではない」と一蹴した。
 自民党の露口市議は、「凍結解除は英断。国や都から補助金をもらえないのは市民の不幸。国土交通省への意見書についての市長の見解は?」と発言した。市長は「(認可の可否は)付帯決議が問題ではない。予算を執行するかどうかだと国に言われた」と応じた。
 改革連合の五十嵐市議は、「予算に反対の議員が、付帯決議に賛成するのはおかしいと思う」と発言した。市長は、同様の認識を表明した。
 民主党の渡辺市議は、「現在の計画に異論を持つ複数の地権者は、決議後、市から電話も来訪もないと言っている。凍結解除に向けて何か取り組んだのか」と発言した。市長は「賛成してくれというのは、別の機関がやること」と答弁した。
 公明党の小尾市議は、「(凍結解除は)状況の変化と進展を受け止めたもの」と発言した。市長は「小尾さんの言うとおりです」と応じた。
 市民の党の青木市議は、「前代未聞の裏切行為。与党11名が手のひらを返したのは、議会と市民を欺くやりかた」と発言した。
 その他、大勢の市議から凍結解除に関する質問や見解表明があった。
 焦点になったのは、付帯決議にある「議会多数の同意」とは何人かについての市長の認識。小金井市議会は24名で構成されているので、その過半数は13名。仮に採決に参加しない議長を除いても過半数は12名となる。しかし、稲葉市長は、「11名の与党市議から凍結解除の要求があった。不完全だが議会多数の同意である」との認識を繰り返すことに終始した。与党公明党は、「多数とは過半数」との認識を示しており、11名で議会多数というのは、市長独自の見解と見られる。

事業認可の見合わせ 求める意見書を可決

 凍結解除に対して。現在の再開発計画に慎重な態度をとる7会派は「事業認可の見合わせを求める意見書(概要は資料A参照)」を提案した。
 意見書は、国に対して「小金井市議会の過半数の同意、関係者の理解を得るまでは、事業認可を見合わせること」を求め、また、国及び都に対して「市と都市再生機構に対して、全地権者から事業認可の同意書を取り付けるよう要請すること」を求めている。
 起立採決の結果、賛成が、共産党・生活者ネット・民主党・市民の党・湧く湧く・市民自治・市民ウェブの7会派12名、反対が、公明党・改革連合・改革21・自民党の4会派11名、となり、意見書は可決され、内閣総理大臣・国土交通大臣・東京都知事宛て提出されることになった。

市長に対して問責決議

 また同7会派は、凍結解除をおこなった稲葉市長に対して「責任を問う決議(問責決議)」を提案した。
 決議は、「議員22名が賛成した付帯決議を無視し、議会の過半数の同意と地権者など関係者の理解を得ることなく、再開発予算の凍結を解除したことに対し、強く抗議しその責任を問う」との内容。
 起立採決の結果は、意見書と同様の賛否状態となり、決議は可決された。
 意見書と決議が可決されたことから、本会議終了後の予算特別委員会から委員会審査は正常化した。

国交省の判断は?

 市長が再開発予算の凍結を解除したこと、議会が改めて事業認可の見合わせを求める意見書を可決したことを受けて、国土交通省が、事業を認可するかどうかが注目される。
 地権者の賛否の状況は、賛成の署名数が、86%となっている。一方で、国土交通省宛てに事業認可反対の文書を送付した地権者も26%となっている。重複している地権者が12%おり、どちらが真の意思であるかは、判然としないところがある。
 また、事業認可に反対する地権者からは、都市再生機構の撤退を求める声、同機構からの郵送物を拒否する声、立ち退き拒否を宣言する声が出されている。これらの地権者の土地は、大規模商業施設予定地、市民交流センター予定地、JRビル予定地、東西道路予定地などにあたっている。このため仮に事業認可になっても、十数年以上暗礁に乗り上げる危険があると見る向きもある。その場合、市民交流センターの建設も延期され、老朽化した公会堂の使用を継続せざるをえない事態も予想される。
 国土交通省は、難しい判断を迫られることになりそうだ。

事業認可後は?

 仮に事業認可がなされた場合、31日後に「評価基準日」が設定され、その時点での資産の評価が確定される。地権者は、その日までに、転出するか、再開発ビルの床を取得するかのいずれかを選択することになる。そして、評価基準日から半年後に権利変換計画認可を受けるというのが再開発法上のスケジュールとなっている。
 しかし、再開発事業の内容や、権利変換計画に関する合意が形成できない場合、評価基準日において確定した資産査定には「賞味期限」があるため、半年経過時点で再度、評価基準日を設定し直すこととなり、合意が形成されるまで、このサイクルが繰り返されることになる。
 稲葉市長は「1回で終われるように努力したい」としているが、佐藤・再開発技術担当参事は、「何サイクルということも、ありえない話ではない」と評価基準日が繰り返される可能性を否定していない。
 何サイクルも評価基準日が繰り返された後で、仮に合意のないまま権利変換計画の認可が行なわれた場合、都市再生機構は、立ち退き拒否者を対象に「明け渡しを求める訴訟」を提起するものと見られる。一審、控訴審、上告審で判決が確定するまでには、相当長期の年数を要すると見られている。なお、東京都は、地権者に対して、土地を強制的に取り上げる考えははないと説明しており、判決が出たとして、どのように事業を具体化するのかは不透明な状態だ。

【資料@平成16年度再開発予算の執行に関する市長報告(要旨)】
平成16年度一般会計予算は、3度にわたる暫定予算を経て、9月市議会定例会において成立した。予算の執行については、武蔵小金井駅南口再開発と東小金井駅北口土地区画整理の関連予算を、議会の多数と関係者の理解を得るまで、今年度の執行を凍結するという付帯決議があった。
 こうした状況の中、市内在住・在勤の著名人等、約86%の地権者、11名の市議会議員、小金井100年の街づくりを進める市民の会から再開発事業の推進の要望が出された。
武蔵小金井駅南口再開発は、事業計画認可申請を、今年の2月に当時の都市公団から国土交通省に提出した。通常は80日程度による審査期間を経て認可される。しかし、意見書が提出されたこと等もあり、認可に一定の時間を要している。認可が保留されている期間が既に半年以上に及ぶ状況であり、地権者の間に大きな不安が生じている。
 市に対する国からの補助金は、今年度に執行できないとなれば、来年度以降の執行についても見通しが立ち難く、その結果、再開発事業の継続的な執行に懸念を持たれ、来年度以降の補助金の措置について確保が極めて厳しくなる。
 昨年と本年7月の市長選で、市民は再開発の推進を私に負託した。地権者からの嘆願書、市民団体等からの要請、市議会議員からの要請、補助金の継続的な確保から、「一般会計予算に対する付帯決議」を解除することについては、ご理解をいただけるものと判断した。
 なお、国などに対しての事務手続きは進めているところである。
【資料A意見書(要旨)】
 平成16年9月議会で、小金井市議会は、「議会の過半数の同意」及び「関係者の理解」を得られるまでは、可決した予算の内、武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発に関係する予算の執行は凍結すべきとの付帯決議を、賛成22名、反対1名の圧倒的多数で可決した。
 ところが、稲葉市長は、12月10日、突如として凍結を解除するとの表明を行なった。現在の計画に異論を持つ地権者に対して理解を得る努力を何ら行なわない中で凍結解除することは、市民及び議会との信頼を損ねる行為である。
 国土交通省には、総地権者62名の4分の1を超える土地所有者・借地権者や二桁を数える借家権者から事業認可反対の文書が提出されている。2、3名の権利者が協力しないだけで暗礁に乗り上げるのが再開発事業の特徴である。事業が一切動かない場合には、施行者・地元自治体のみならず、認可主体としての国土交通省の責任も問われる。
 事業認可は、認可すれば動き出す事業について行なうべきである。見通しのない認可は、駅周辺のまちづくりをいよいよ困難にし、建築や売買などが強く制限されるという迷惑を地権者に及ぼすだけの結果となる。
 よって、以下の実施を強く求める。
@国土交通省は、地方主権の理念に配慮して、小金井市議会の過半数の同意及び関係者の理解が得られるまでは、武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発の事業認可を見合わせること。
A国土交通省及び東京都は、小金井市及び都市再生機構に対して、全地権者から武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業の認可に同意する文書を取り付けるよう要請すること。

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